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2022年08月19日

市長リコール署名の集め方が不適切だったことが判明!

Twitterでもつぶやきましたが、先月から始まっていた市長リコール署名は、リコールに必要なつくば市の有権者数の1/3に当たる64,658人に到底足りない1,028人分の署名しか集まらず、成立しませんでした。

(情報源) NEWSつくば「市長リコール請求を断念 署名集まらず つくばの市民団体」(2022/8/16)

【関連記事】
(2022/08/10)盛り上がってなさそうな市長リコールはもうすぐ署名締め切り!

市長リコール署名の集め方が不適切だったことが判明!
※つくば市長リコール住民投票の会のホームページのスクリーンショット

1,028人では市長の解職請求どころか、有権者の1/50以上の署名が必要な条例の制定請求にも足りない数でしたから、ぐうの音も出ない「完敗」としか言い様がありません。
周りの認識を聞いても、そもそもリコール運動が行われていることを知らなかったり、チラシがポスティングされたのは知っていてもいつもの(?)怪文書だと思って読まずに古紙回収に出されてしまったりという感じで、リコール運動は全く浸透していませんでした。

そもそもチラシを読んだどころで、元総合運動公園用地が売却されると、「学園都市がなぜ存亡の危機か」について何度読んでも理解できる理屈がないので、署名してくれと言われても署名する気になんて全くならない内容でした。
多くの市民の賛同を得ようとする努力をしなかった挙げ句、「6万筆なんて集まるはずないのに、負け戦に参加することに恐怖もあったと思う」(※NEWSつくばの記事より)という発言を当事者がするとは、負け惜しみだとしても呆れて言葉もありません。

しかし、今回リコール運動の問題はこれだけではありませんでした!

NEWSつくばの記事には署名の集め方について書かれていませんでしたが、茨城新聞の記事には「市内約6万1千世帯に署名簿を配布した。」とありました。
総合運動公園の住民投票条例の直接請求の際には対面で署名を集めていて、このようなやり方は見掛けなかったので疑問に思いました。
いろいろ調べてみると、「つくば市長リコール住民投票の会」が今回行った署名の集め方は、市長の解職請求のための署名の集め方としては地方自治法上認められないやり方で不適切だと分かってきました。

市長の解職請求などの直接請求制度についての解説が、総務省の「直接請求制度の運用上の課題に関する研究会」の報告書にありました。
この「直接請求制度の運用上の課題に関する研究会報告書」の34~36ページ(PDFの37~39枚目)に、署名収集の手続きについて書かれています。
この報告書によれば、署名の収集は請求代表者又は請求代表者から委任を受けた者(署名収集受任者)により行われなければならず第三者による署名収集は認められないこと、また署名の収集方法は戸別訪問又は街頭のいずれか郵便及び回覧では不可であることが分かります。

考えてみれば当たり前のルールですね。
郵便や回覧では、家族や近所の人の分まで同一人物がまとめて署名することが容易です。
少なくとも対面であれば、同時に1人しか署名できません。

今回のリコール運動のチラシを古紙のストック袋から改めて引っ張り出して確認してみると、チラシだけでなく署名簿も添付されていました。

市長リコール署名の集め方が不適切だったことが判明!

やはり、戸別訪問や街頭ではなく、署名簿を配布するやり方で署名を集めていたわけです。
郵便・回覧の方法は認められていないので、せっかく署名しても全て無効になってしまいます。

また、赤枠で囲ったところに受任者(正確には、「請求代表者の委任を受けた者」)のことについて不適切なことが書かれています。

「家族の代表者が受任者になります」
「署名収集委任状に家族の代表者名を記入」


え?それって、委任状になっていないのでは?

市長リコール署名の集め方が不適切だったことが判明!

上の写真のように解職請求者署名委任状を見てみると、住所・氏名その他は空欄になっています。
空欄を署名の代表者が記入し、委任状にもとづいて署名が集められたように見えるよう記入することがチラシに書かれていたわけです。
これでは法令の定める成規の手続に反しており、委任状になっていません。
そもそも「請求代表者証明書」(又はその写し)と「請求代表者の委任状」を署名簿に付ける必要があるのは、署名を集めている人が署名収集の資格があることを明示して署名を集めさせるためですから、空欄の委任状に署名した人を後から委任したことにしても(委任状の日付上は問題ないように見せかけても)、有効にはならないはずです。
以前は、署名を委任するたびに直ちに新たな委任者の委任届を提出する義務があったくらいです。
(受任者の人数が多い場合に事務手続が煩雑になるため廃止されました。)

前述の「直接請求制度の運用上の課題に関する研究会」報告書の37頁にも、「委任状等が付されていない署名簿(中略)による署名」は無効になることが書かれています。 (今回、委任状の「様式」は付されていましたけどね…)

市長の解職請求について、「法令の定める成規の手続」を知らずにやったのかどうか分かりませんが、地方自治法第74条の4では、「政令で定める請求書及び請求代表者証明書を付していない署名簿、政令で定める署名を求めるための請求代表者の委任状を付していない署名簿その他法令の定める所定の手続によらない署名簿を用いて署名を求めた者(中略)は、十万円以下の罰金に処する。」と罰則まで定められている違反です。

リコール署名のチラシでは、市長が旧総合運動公園用地の売却手続に関して法令違反をしていると主張していました(以前の記事で書いたように全く問題ないと思います)が、その署名集めの方法が法令違反では話にならないのではないかと思います。
仮に今回のリコール署名がつくば市の有権者数の1/3以上集まっていたとしても、ポスティングや新聞折り込みで集めた署名は全て無効となっていた可能性が高いですから、わずか1000人あまりとはいえ署名した人に対して失礼な話です。

以前、総合運動公園の住民投票条例の制定に関する直接請求が行われた際には、請求代表者を中心とした市民団体が署名期間開始前から住民投票条例の必要性を広く市民に訴え、受任者集めもしていたと記憶しています。
今回のリコール運動は、広く市民の理解を得られないままリコール運動が始まり、受任者が集まらないために各戸配布という手段にしたのかもしれませんが、地方自治法の定める方法にしたがって適切に署名集めをしていただきたかったと思います。

●まとめ
今回の「つくば市長リコール住民投票の会」による市長解職請求の署名集めの方法は、以下の2つの点で法令の定める成規の手続に反していたと考えられます。
・「署名の収集方法は戸別訪問又は街頭のいずれか」ではなく、署名簿を配布して回覧や郵便で署名を集めたこと
・「請求代表者の委任状を付していない署名簿」を用いて署名を集めたこと



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Posted by Science_City at 12:44│Comments(0)総合運動公園問題
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