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2014年09月08日

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

筑波研究学園都市は国家プロジェクトとして建設されただけあって、高名な建築家によって設計された建築物があちこちにあります。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

この「茨城県営松代アパート」もその1つです。
大野秀敏東大教授とアプル、三上設計事務所による設計で、6階建て121戸の賃貸住宅です。
1995年の日本建築学会作品選奨を受賞しています。

いつも牛久学園線(国道408号)を走っていて、やたら造形が複雑な建物が建っているのが見えて、あれは何なのだろうと思っていました。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

中央に中庭があって、四方を4棟の建物が取り囲む配置になっています。
同じ形状の箱型の建物が並ぶ、よくある県営住宅からかけ離れた複雑な建物です。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

この建物の特徴的なことは、4棟の建物が4階にある空中歩廊でぐるっとつながっていることです。
南側にある3号棟(上の写真)では、北側に高架の歩廊が取りついた形になっていて、線路か道路が通っているようにも見えます。
つまり、この建物は6階建てですが、3階建ての団地を2つ積み重ね、4階が4~6階の3階建ての団地の1階になっているというイメージになっています。
エレベータも2基設置されていますが、1階と4階にしか停まりません。
(共用廊下(=空中歩廊)が4階にしかなく、他の階では水平方向に移動できないため)

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

西側に建つ4号棟(上の写真左側)では、中庭側ではなく牛久学園通り側に歩廊がつながっています。
北側に建つ1号棟(上の写真右側)では、中庭側に歩廊があり、5、6階はやや引っ込んだ形になっています。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

東側に建つ2号棟では、4階を貫通する形で歩廊が通っています。
玄関は階段の両側にあって、昔ながらの公団住宅や公務員住宅と同じ形ですが、それと別に4階には空中歩廊があることになります。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

下から見ると、部屋によっては歩廊の陰になって暗くなってしまっている部屋もありました。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

空中歩廊を横から見ると、こんな感じです。
結構ごついです。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

歩廊の下に入ると、鉄道のラーメン構造(←食べ物ではない)の高架橋にしか見えません。
3号棟では歩廊が北側にあるので、もともと日当たりは期待していないにしても、写真の左側にある部屋の窓(特に3階)は暗くなっています。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

この空中歩廊へは南東角にある外階段で直接上がることができます。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

この階段で歩廊まで上がったところに、集会所があります。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

公民館のホールのような部屋で、いろいろな活動に使えそうですね。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

この空中歩廊をぐるっと一周してみます。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

各部屋と空中歩廊の間にはポーチ状の空間があって、それぞれ勝手口があります。
(メインの玄関は別)

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

こちらは1号棟で、南側に歩廊がある部分です。
ダイニングキッチンがこちら側に面しているのですが、その窓の外に歩廊が通っています。
(ベランダの先に歩廊がつながっているイメージ)
せっかくの南向きの窓なのに、歩廊から部屋の中が見えてしまうので、ほとんどの家のカーテンが閉まっています。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

歩廊には土がある部分があり、草木が植えられていますが、手入れが良いとは言い難い状況でした。
きちんと手入れされていれば、ここが4階とは思えない潤いのある空間になると思います。

子どもが喜んでかくれんぼしそうな「県営松代アパート」!

歩廊にはところどころに遊び場もあり、ブランコやベンチなどが設置されていました。
訪問した時には、誰も遊んでいませんでしたが…。
自分が子どもだったら、この空中歩廊を使ってかくれんぼや鬼ごっこをしたら楽しいだろうなと想像します。

もっとも、「住む」という観点で考えた時に、良い建物かと問われれば、「否」でしょう。
20年前のオートロックマンションがほとんどなかった時代の建物にセキュリティの思想を問うのは酷でしょうけれど、侵入口がたくさんあるというのはいただけないと思います。
採光の面でも、歩廊の存在によって下層階に影響が出てしまっていますし、6階に上がるために4階までエレベーターに乗って2階分階段で上がるという設計では、居住者の利便性を考えていないと言われても仕方がないと思います。

また、維持管理の面でも、橋のような複雑な構造があるため、通常の建物より修繕費用はかなり高くつくでしょうし、コンクリート打ちっぱなしに明色系の塗装では、時間の経過によって汚くなってしまうのが難点です。
(旧桜庁舎も、新築時はきれいな桜色だったはずが、汚くみすぼらしい感じになってしまっています。)
塗装は無色の方が、汚れてもむしろ年月の重みを感じさせるように思います。

同じ大野秀敏教授の建築物でも、「YKK滑川寮」なんかは、古くなっても古いなりの姿になると思います。

設計のコンセプトは良かったと思うのですが、居住性や維持管理性にもう少し配慮があった方が良かったと思いました。

…何か今回の記事は長い建築批評になってしまいました。
高校時代は建築家になりたかったので、つい熱く…。
それでは、また次回(^^)/





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Posted by Science_City at 06:23│Comments(0)建築
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