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2017年08月14日

つくばの水道料金の値上げについていろいろ調べてみた!

つくば市の水道料金が来年度から平均で21%(標準世帯で16%)値上げされるという報道がありました。
(出典:東京新聞地方版「つくば市が来年度から水道料金値上げへ 標準世帯で16%」

茨城県は割と水道料金が高い県で、つくば市の水道料金は県内で最安だそうです。
もっとも、他の複数の県に住んでいた経験からすると、つくば市の水道料金は特に安いとは思わないですけどね…。



さて、つくば市の水道料金は、この35年間据え置きのままです。
素晴らしい経営努力…と言いたいところですが、原価より安く供給しているため、今の料金では供給すればするほど赤字になっています。
現在は、上水1m3を供給するのに205円かかるのに、料金収入は164円しか得ていないということなので、単純に考えれば25%の値上げが必要ということになります。
(出典:「つくば市水道事業の経営状況」)

●赤字状態が放置され続けたわけ

なぜこんな状態が今まで放置されていたのか不思議ではありますが、おそらく20年近く前にあった筑南水道事業団(今のつくば市水道事業)100億円不正借入事件の影響だと思います。
(事件については、例えばこちらに詳しいです。)

この事件があったために、水道料金の値上げを提案して「事件の損失を値上げで補填するのか!」と批判されることをおそれて、赤字が続くにもかかわらず据え置きが続いたのではないかと想像しています。

●つくば市の水道事業はつくば市全体をカバーしていない!

調べてみると、つくば市の水道って結構特殊な状況に置かれていますね。

筑波研究学園都市のエリアは、自前で整備したのではなく今でいうURや茨城県が整備したので、自前で整備したのは旧筑波町の東側と旧茎崎町の部分がメインのようです。
つまり、初期投資費用が余りかかっていないわけですね。

それから、驚いたのはつくば市西部の広い範囲には、つくば市の上水道が通っていないことです!


平成27年11月6日 つくば市上下水道審議会 答申書 資料7に加筆)

これを見ると吉沼や上郷あたりを中心に、上水道が未整備のエリアが広がっています。
身近なところでは、下平塚には上下水道が通っていません。
つまり、つくば市では研究学園都市ができる時やTX沿線開発時に上水道をつくってもらった他は、一部を除いてあまり上水道を整備してこなかったといえます。

これらのエリアでは、各世帯が参加する組合によって主に地下水をくみ上げた簡易水道が運営されています。
つくば市内に簡易水道組合は91あるそうですが、茨城県全体でも119、全国でも712しかなく、つくば市の簡易水道組合の数は全国でも突出しています。
何しろ、全国の簡易水道組合の1割以上がつくば市に存在するのです!
(出典:全国簡易水道協議会「水道の種類別箇所数(平成28年3月31日現在)」)

●今後、管路や施設の老朽化に伴って修繕費用が増えていく!

つくば市が作成した「平成27年度経営比較分析表」を見ると、法定耐用年数40年を超えた管路の割合は約5%と今のところ低いですが、今後学園都市ができた当時の管路が一気に更新時期を迎えると思われます。
現在、修繕費は供給原価の約2.5%を占めるだけですが、今後は1割を超えるようになると予想します。

●簡易水道から上水道への切り替えも必要!

また、簡易水道も今のままで良いとは言えません。

簡易水道によって質の良い地下水が供給できているのであれば良いのですが、水質検査の結果を見ると平成27年度では上水道が100%基準に適合しているのに対して、簡易水道についてはつくば保健所管内(つくば市91施設・つくばみらい市1施設)でみると、基準適合率が59.9%と6割にも満たない状況でした。
(出典:茨城県保健福祉部生活衛生課「平成27年度 茨城県の水道」)

大部分が色度の不適合とはいえ、一般細菌、マンガンや亜硝酸態窒素などの不適合もそれなりに目立ちますので、上水道と比べると水質が不安定といえます。

また、簡易水道組合の運営体制は脆弱です。
各組合の計画給水人口は100~2000人で、実際の給水人口はそれぞれ10~600人しかいません。
年間の収入は20~400万円で、100万円未満のところが大半です。
これでは、ポンプや管路の交換などが必要になれば、各世帯から臨時に費用を徴収する必要が出てくると思われます。
そして、ほとんどの簡易水道は昭和30~40年代に造られたもので、設備の耐用年数を超えたものが多くなっていると思われます。
しかし、各組合が自力で設備の更新費用を捻出できるところは多くないのではないでしょうか。

そう考えると、今の簡易水道の大半は持続可能ではなく、つくば市の水道事業に組み込んでいく必要があるでしょう。
すべて今のつくば市の水道と連結する必要があるかどうかは別として、零細組合の運営から徐々に市営水道に切り替えていく必要があると思います。
その際、水源の切り替えや基準に適合した上水の確保、最低限の維持しかされてこなかった設備の更新などの費用が必要になってくるでしょう。
今後、組合運営の簡易水道事業は、市の水道事業に統合したうえで合理的な設備更新をすることが必要だと思います。
その際、既存の上水道に接続することにこだわらず、地下水をくみ上げて浄化して配水するのと、既存の管路を接続するのとどちらが安いかを比較して、合理的な方を選択すればいいのではないでしょうか。
流域下水道に接続するか、合併浄化槽を整備するかを選択するのと同じ考えです。
既存の幹線管路が近くまで来ているエリアでは上水道に切り替えた方が安くなるでしょうし、孤立したエリアは既存の簡易水道を更新した方が安上がりでしょう。

今回の水道料金の値上げ幅では、これらの費用は到底確保できないのではないかと心配です。

先日、日本共産党つくば市委員会のチラシがポストに入っていました。
その中で、水道料金の値上げ問題についても触れられていました。
簡易水道から上水道の切り替えには莫大なお金がかかるし、地下水を利用している簡易水道の方が味が良いから、簡易水道の設備更新に税金を投入した方がよいという論調でした。

しかし、以下の点で共産党のチラシに書かれていた簡易水道への見解には疑問があります。
・共産党のアンケート結果で、上水道への切り替えを望む組合が約半分(48%)もあったこと
・味以前の問題として、簡易水道の水質が4割以上も不適合だという現状があること。
(色度が不適合だと洗濯物が染まるおそれがあります。)
・水質不適合の対策には深井戸への切り替え、マンガン等の除去装置の設置などが必要で、これらの費用を簡易水道組合では負担する余力が無いこと
・また、将来の老朽化に伴う設備更新費用を負担する余力も無いこと
・一方、組合の設備への税金の投入は、上水道への設備投資を水道料金で負担している上水道利用者も負担することになり、不公平であること

このチラシでは、簡易水道組合という民間の独立した組織の会計と市の水道会計・一般会計という出資者が異なる3つの財布を同一視しているので、おかしな議論になっているのが気になりました。

簡易水道については、今のまま放置できないのは間違いありませんから、今後もう少し突っ込んだ議論が必要だと思います。

●もっと値上げする必要があったのではないか?

長々と書いてきましたが、初めの方に書いたように単純に考えれば25%の値上げが必要なところ、21%しか上げないということは、供給単価を4%(1m3あたり約8円)下げる必要があります。
供給単価の約半分は「県南広域水道用水供給事業」からの受水費用なので、コストカットの余地に乏しいはずです。
おそらく五十嵐市長は、茨城県からの受水単価を下げてもらうことでコストカットを実現しようとしているようです。
(出典:「平成27年度つくば市水道事業会計決算の概要と経営分析」)

もともと平成27年のつくば市上下水道審議会の答申では、38%の値上げが答申されていました。
当面は、21%の値上げで何とかなるとしても、平成14年から27年の間に70億円から10億円に激減した現金・預金では、まったく投資余力がありません。
(出典:「つくば市水道事業の経営状況」)
災害や老朽化などで、少し規模の大きい工事が必要になれば借金に頼る必要があります。
15年前なら21%の値上げでも良かったと思いますが、ここまで値上げを引き延ばしてしまって水道会計が傷んでしまった以上、もう少し値上げする必要があったのではないかと考えます。

昔の国鉄も、政策的に運賃の値上げを先延ばしにされた挙句、膨大な借金を残して民営化されました。
適切な値上げをしないで先延ばしすることは、政治家の一時的な人気取りにしかなりません。
もちろん、大胆なコストカットによって値上げが不要になれば1番良いのですが、そういった努力もなしに原価割れの給水単価になってから25年も値上げをしなかったのは怠慢だと思います。

ようやく値上げの決断をした五十嵐市長は正しいと思いますが、値上げ幅はカットしすぎではないかというのが私の感想です。



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この記事へのコメント
まさとさん、こんにちは!

私は大阪の水は美味しいとは思いませんでした。
淀川の下流で取水していますから、塩素が強めに感じました。

つくばの水が不味いのは農業県だからこそですね。
昔は下水道が普及していなかったのが霞ケ浦の水質を悪化させる原因でしたが、今は田畑の肥料で富栄養化しているのが最大の原因です。

さらに、霞ヶ浦は水深が浅いので、栄養と太陽光でプランクトンが繁殖しやすい環境にあるのが不味くなる原因だろうと思います。

東京・大阪・名古屋の三大都市圏では、名古屋が断トツに美味しいですね。
ダム湖や湖に貯めた水ではないからだと思います。
Posted by Science_CityScience_City at 2017年08月29日 00:44
たしかに東京、京都市、宮城北部の登米市、石巻市、仙台、大阪市、姫路、北九州、長野県飯山市、新潟市、南魚沼市など色んな所の水道水を飲んだことがありますがつくばは残念な味でした、
そして長野県飯山市、新潟市、南魚沼市、登米市など全国的な米どころの水は水道水でも本当に美味しかったです。
美味しい地域は常温に戻しても飲んでもちゃんと美味しいです。

とてもじゃないけどつくばの水道水を常温に戻して飲んでも美味しいという人は少ないでしょう。
農業圏在住として悔しいことですね
Posted by まさと at 2017年08月22日 00:43
りんこさん、こんにちは!

argonqさんへのコメントでも書きましたが、使用水量20立方メートル以下は定額料金なので、もともと節水している家庭だと、料金は下がらないかもしれません。

あと、これは想像ですが、縦型洗濯機でも以前から溜めすすぎ1回だけしかしていないのであれば、ドラム型でも使用水量に大きな違いが出ない可能性はある気がします。
Posted by Science_CityScience_City at 2017年08月19日 17:45
圧巻兵衛さん、こんにちは!

確かに、研究機関の水道利用を見込んで、結果的に過大な供給能力を持っていて、それを想定より少ない利用者で負担することになっているので、赤字になっている面がありますね。

地下水利用をしている事業者に賦課金をかけるということも、一応検討課題としてあがっているようです。
Posted by Science_CityScience_City at 2017年08月19日 17:39
匿名希望さん、こんにちは!

つくば市は可住地面積が広いので、全域に上下水道整備する必要がある点で不利ですね。

つくば市の上水道は確かにまずいですが、土浦よりもまずいとは思わないですね。
ただ、つくばも土浦も霞ヶ浦で取水したものを高度処理しているのに対して、取手や守谷は利根川や鬼怒川から取水しているので、取手や守谷あたりだとその味の違いがあるかもしれません。
あと、つくばみらい市は地下水の水源比率が高いので、その辺りの違いがある可能性もありますね。
(取手・守谷・つくばみらいあたりで水道水を飲んだことが無いので、味はわかりません。)

つまり、霞ヶ浦を水源とした水道水が不味いということではないでしょうか?
Posted by Science_CityScience_City at 2017年08月19日 17:26
Jiroさん、こんにちは!

いえいえ、この問題については既に五頭市議が十分説明されていました。
(記事を書いてから気づきました。)

あくまでも素人の夏休みの自由研究ですよ(^^;
Posted by Science_CityScience_City at 2017年08月19日 17:04
じゅんさん、こんにちは!

費用の削減はなかなか難しいところですね。
職員は相当削減していますし、県が供給する水道の単価も、これまでの投資額を回収するための費用が含まれているので、そうそう下げられないでしょうし、少なくとも赤字になっている分の値上げは必要なのだと思います。

ちなみに、値上げ後でも20立方メートルで2900円(/2か月)ですから、
2リットルのペットボトル1本で0.29円分にしかなりません。
味は劣りますが、安さはウォーターサーバーと比べ物にならないです。

個人的には、もう2割上がってもいいから美味しい水の方がいいです。
(結局、浄水器やミネラルウォーターのお世話になるので)
Posted by Science_CityScience_City at 2017年08月19日 17:01
argonqさん、こんにちは!

もしかすると、使用水量が20立方メートル以下だということはありませんか?
20立方メートル以下は定額料金なので、もともと使用水量が少ないと全く使わなくても同額になってしまいます。

暑い季節に事故で2か月以上も入浴できないとは大変ですね。
早い快復をお祈りしています。
Posted by Science_CityScience_City at 2017年08月19日 16:45
いつも有意義な情報をありがとうございます。

他の方のコメントにもありましたが、
旧式縦型洗濯機から節水型ドラム洗濯機に買い替えたのに、
水道代はほとんど変わっていないのが不思議です。
うちだけではなさそうです。
Posted by りんこ at 2017年08月17日 07:41
いつも楽しく拝見しています。

この問題ですが、大口利用者である研究所や商業施設(イーアスなど)が
井戸を利用して水道代金を支払っていないことも水道事業の赤字に拍車をかける原因と言われています。
Posted by 圧巻兵衛 at 2017年08月16日 14:17
中心部を除けば、人口密度の低いつくば市は、上下水道とも敷設するのはかなり非効率な事は否めないですよね。
にしても、つくば市の上水道は近隣市町村と比較しても際立って不味いと感じるのですが、これも設備の問題から来ているのか?
Posted by 匿名希望 at 2017年08月15日 23:44
凄い
もう議員になって下さい!
Posted by Jiro at 2017年08月15日 12:56
つくばは大部分が台地の上にある上、取水できるような大規模な河川もないため、本格的に水道を整備しようとなると相当な投資をする必要があるのは仕方がないことですね。

山間部だとダムを作り、また余剰水を近隣に融通することで運営をまかなえましたが、つくばはそれができないので仕方がないことです。

水は買うとして、代わりにつくばでしかできない何かを売ることで相殺するなどあるかもしれませんが…新市長に期待するところです。
あとは自衛策でウォーターサーバを買うか…
Posted by じゅん at 2017年08月15日 00:57
良くぞ調べてくれました。
 事故で2ケ月以上入浴出来なくとも水道料金は全く安くなっていないので電話しようとしているところです。
Posted by argonq at 2017年08月14日 15:39
コメントはしばらく承認制にさせていただきます。落ち着いたら承認なしにしたいと思っていますが…
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